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私の母は、何かに特別こだわる人ではありません。
でも、なぜか昔から母の鏡台には不思議な化粧品が
並んでいました。

いわゆる有名化粧品メーカーの物は全く無く、
見たことも聞いたこともないようなメーカーの
化粧品が並んでいました。

そこに、特別なポリシーのようなものは全く感じ
られないんですけどね。
鶯の糞でできた洗顔粉、あずきでできた洗顔粉、
とか---------。




前にもお話しましたけど、にんにくのパックを
作ってみたり、ああ、黒砂糖とハチミツのパック
っていうのもよくやってましたね。
特別お肌に気を使っていたという感じもしないんですが。

食材にこだわったりもなかった気がするんですけど------。
なぜ、普通の化粧品を使わないのかすごく不思議でした。

まあ、今のように無農薬野菜なんてあまり騒がれていなかったし、
無かったですからね。
あったら食にもこだわるのかなあ？
でも、不思議な飲み物とかはあったような記憶がありますね。
好奇心旺盛な人ですから。

私が高校の頃に、母と一緒に知り合いの方の
おうちに遊びに行ったとき、ある化粧品メーカーの
営業の方がいらっしゃいました。

まあ、早い話セールスですね。
でもその方の話した内容が私にはすごく衝撃で。

「普通の化粧品はタール系の油が入ってますが
これは黒皮病と言って肌が真っ黒になってしまうんですよ。
有名メーカーの化粧品は結構これが入っていて
今、裁判になっているものも多いですよ。」

タールって？！
コールタール？
あの、真っ黒なコールタールが化粧品の中に入ってるの？

母の実家は道路を作る会社でしたから、よく会社の人が来て
うちの駐車場を舗装してたんですけど
そのとき、真っ黒なタールをまいてその後砂利をまいて
手押しのローラーで固める作業をよく目にしていました。
そのタールが服につくともう落ちないんですよ。

あんなもん化粧品に入れたらどうなるの？
そりゃ肌も真っ黒になるってもんだわ！
まあ、タール系と言ってもコールタールではないでしょうけど
私の頭の中では、
「化粧品の中にはコールタールが入っている！」
が、インプットされてしまったんです。
そのときから、私も絶対普通の化粧品使うの辞めようと
思ってしまったんです。

その後、「黒皮病」は結構話題になって
こぞって化粧品メーカーは
「タール系の油は使っていません！」
と宣伝し始めましたね。

以来、私もデパートなどで化粧品は買ったこと無いです。
そのときに応じていいものを探して何処まででも
買いに行ってました。

まさか、私が化粧品に携わることになるなんて夢にも
思わなかったんですけど。
そういう母のＤＮＡが私にも受け継がれているのでしょうか。

何故、化粧品だけこだわっていたのか聞きたいのですけど、
今、母は認知症ですから聞いてもわかりません！