ブランド

おおよそ商品の内容が決まりかけたところに、工場から電話がありました。

「ところで商品の名前は決まっているのでしょうか?」

「名前？」

「化粧品には名前が必要でしょう？いい名前をつけなくちゃダメですよ。」

「？？？？なんでそれを早く言ってくれないの？」

そうです。化粧品にはみんなステキな名前が付いているじゃないの。
ブランド名どうしよう？！

それから地獄のような日々が続きました。
今考えても胃が痛くなります。



毎日夕食が終わるとテーブルに、ずらりと辞書を並べます。
日本語、英語、フランス語、ラテン語、イタリア語----。
10個から20個考えて、翌日検索をかけるとすでに商標登録が取られています。
化粧品メーカーは使わなくても、よさそうな名前は商標を取るのだそうです。
資金に余裕のない私はせいぜい１つしか登録できませんが、その１つを決めるのにも
毎晩毎晩一人で考えなければなりません。
200は考えました。でもダメです。
もうすでに試作を開始してから10ヶ月が経過しています。
10ヶ月前に考えなければいけない問題でした。
でももう遅い！！なんとかしなければ----。

友人がまだできないのか？とプレッシャーをかけてきます。

「名前が決まらないからまだまだ――――。」

すると、「自分の名前は？」

そんなのイヤダー。でもためしに検索してみると、これも登録あり。
しかし私の名前の化粧品なんて見たこともありません。
やはり名前だけ登録するところが実際にあるのですね。
お金のある会社はすごいなあ。（続く）